夕焼けを望む河川敷
鉄橋の上を走る電車はきっと
仕事帰りのサラリーマンやOLで
ごった返していることだろう。

オレは部活帰り、
校門で待っていたあいつに声をかけられた。
一緒に帰ろうと誘われて
なんとなく寄り道してここまで来たのだ。
夕焼け、学校帰りに河川敷の土手で二人っきり。

オレ「なんかベタな青春ドラマのワンシーンみたいだな」

そう言って笑いかけるとあいつもこっちを見て微笑んだ。
そして微笑みを浮かべたまま遠くを眺めながらこう言った。

ラオウ「うぬは…好きな人とか、いるの?」

あまりに唐突な質問にオレは面食らった。
そしてとっさにウソをついた。

オレ「そんなのいるわけねーよ」

あいつは再びこっちを見た。
ちょっと意地悪そうな笑みを浮かべてこういった。

ラオウ「嘘」

まるで心を見透かされたような気がして
オレは焦って必死に否定した。

オレ「バッ、バッカじゃねーの!?
   ホントにいねーって!!」

あいつは同じ笑顔でこっちを見ている。

ラオウ「フーン…ホントかなぁ〜?」
オレ「ホントだって!!信じねーのかよ!
   じゃあお前はいるのかよ!?好きなやつ!」

オレはむきになってあいつに聞き返した。
あいつの顔から笑顔が消え、また遠くを見つめる。
涼しい風が二人の間を駆け抜けた。
一瞬の沈黙が永遠に感じられた。
そして静かにあいつはこういった。

ラオウ「…いるよ」

オレはその言葉に気が遠くなりそうだった。
ひそかに思いを寄せたあいつに
好きなやつがいるなんて…。
知りたいような、知りたくないような
聞こうかどうか葛藤する。

オレ「……誰?」

気付いたら口が勝手に動いていた。
あいつがゆっくりとこっちを見る。
まっすぐにオレを見つめるあいつの目。
オレはとっさに目をそらした。

ラオウ「…うぬのよく知ってる人」

オレのよく知ってるヤツ…まさかケンシロウ?
あいつは確かにいいやつだ。
オレなんか比べ物にならないくらい。
勝ち目ナシか…。

オレ「そっか…ハハ、上手くいくと、いいな。
   んじゃオレ、そろそろ帰るわ」

そう言ってあいつに背を向けた。
その瞬間…



ラオウ「バカだな…うぬの事だよ…」



背中に抱きついてあいつがそう言った。
そしてオレの全身の骨は粉々に砕け散った。
6月の夕方の事だった。