プロローグ:http://urafgm.blog69.fc2.com/blog-entry-425.html

第一話:http://ameblo.jp/stuckup/entry-11030109545.html

第二話:http://mappy69.blog133.fc2.com/blog-entry-147.html

***

銃声は更に続いた。

ダァーン!!
ダッダァーン!!

ボヨヨン♪ ボヨヨン♪


「時間ぴったりだな」

「時間ぴったりってどういうことですか!!
つーか最後のボヨヨン♪ ボヨヨン♪って何ですか!!」

「ん?なごみ要素♪」

馬渡はいたずら好きの子供のような笑顔でそう言った。

「こんな古いネタで喜ぶのはオッサン職人どもだけですよ!
ババン子ちゃんきっと困ってますよ!!
というか今の銃声ですよね!何でそんな冷静でいられるんですか!!」

馬渡は相変わらず嬉しそうにニヤニヤしている。
久田須は馬渡の様子がおかしい事に気づき、言葉を失った。


〜〜〜向かいのビルの屋上〜〜〜


「馬渡の言った通りだ。テロがあったばかりだってのに
普通あんな窓のでっかい部屋にホイホイ入れるか?
しかも今日来たばっかりのよくわかんねー医者の指示で。
日本人はホントにバカなんだな…」

「VIPが入る病室は眺めも最高じゃなきゃいけないんだとさ。
眺めがよくても死んぢまったら何も見えないって言うのにな」

「全くだ。さあ、怪しまれないようにさっさとこの場を離れるとするか。
あとで落ち合おうぜ」

「ああ。気をつけろよ、Y=Bach

「お前もな。Kossy=Antoinette

二人の男は何事も無かったかのように
ビルの中へと消えていった。


〜〜〜再び病院〜〜〜


「な、なんだこりゃ!!」

馬渡の素っ頓狂な声が廊下に響いた。
割れた窓ガラスが散乱した病室内、
ベッドの上には血みどろになったポン王妃の亡骸がある…はずだった。
しかし窓は割れるどころか、ヒビ一つ入ってはいなかった。
そして窓際のベッドではポン王妃が安らかな顔で眠りについていた。

「静かにしなさいよ。王妃が起きちゃうでしょ」

「お、お前は!!」

「ウフフ、覚えててくれたのね。嬉しいわ」

「…ボケラッタ…お前…いつの間に…!!」

「馬渡…どういうことだ。お前は何を知っている」

日輪井の質問に馬渡は口を噤んだ。
先ほどの態度でもう自分がテロの関係者なのは明白だった
しかしどうにかしてここから脱出し、あの2人と合流すれば
再度ポン王妃を狙う方法があるのではと
往生際の悪い考えが頭をめぐって何も言えずにいた。

「知ってるも何も、テロの主犯よこいつは。
一度わざと襲撃を失敗させ、自分が医者としてもぐりこんだ病院に搬送させる。
ケンスケ=ファン・ガッツの襲撃は想定外だったみたいだけど、それは逆にチャンスだった。
うまく犯人に仕立て上げれば後はゆっくり王妃を始末できるんだからね…」

「……くそっ!」

馬渡は歯噛みした。計画が全て台無しになった上、窮地に立たされたのだ。
しかしなぜ…なぜポン王妃は無事なのだ。
病院の見取り図は正しいもののはずだった。
スタッフに指示する振りをして小型マイクで王妃の入る病室を仲間に伝え、
見取り図で照らし合わせて狙撃する…完璧な方法のはずだった。
それが…なぜ…

「でも、なんで計画は失敗したんですか?
銃声が鳴った時の馬渡さんの態度は余裕そのものでした。
計画によほどの自信があったとしか思えません。
それに狙撃された部屋はどうなってるんですか?」

「そうね。見事な計画だったわ。
でも病院の見取り図に細工すればこんな計画すぐにおじゃんよ。
狙撃された部屋は別のVIPルームよ。どうなってるか見に行きたい?」

マイクは生きている。この会話を拾って電波を飛ばし続けている。しかし…
万が一を想定して計画完遂後は受信機を破壊して逃走する様に命じていたのが仇になった。


馬渡は今、完全に孤立無援だった。


「なぜ…なぜオレ達の邪魔をする!!
お前もかつて志を同じくした仲間だったじゃないか!
テンシブヤ王国民主化はお前の夢でもあったじゃないか!!!」


馬渡は声を荒げた。
ボケラッタは澄んだ青い瞳で馬渡を見つめて言った。


「時は来た!……それだけよ」


「どういうことだ!!日本に来たポン王妃の暗殺は
民主化のための絶好のチャンスじゃないか!!」

「あなたが狙撃させた病室に行けば分かるわ。
私が民主化のチャンスをふいにしてまでやりたかった事が何か」


「何…だと…?」


<第四話へ続く>